中部地方にお住いの40代の主婦様から「幼児虐待」に遭遇され、問題解決に向け尽力をされた体験談を紹介します。
過去に2度、幼児虐待の通報をした経験があります。1度目は、賃貸物件に住んでいた時。2度目は、購入した新築マンションでのことでした。
通報により救えた命。守れたマイホーム。そんな経験を紹介し、あなたも「誰か」と「マイホーム」の救世主になれる事をお伝えしたいと思います。
子育ての社会問題!幼児虐待は根本的に根深い問題
生活の拠点となる「住居」。食事や睡眠、憩いなど、穏やかな空間にしていたいと願う方がほとんどではないでしょうか。しかも、多くの思いと投資をして手に入れたマイホームです。簡単に引っ越しなど出来ないからこそ、トラブルの無い環境が続くように願うものですよね。
しかし、残念な事に、そのマイホームが命を奪われる環境になっている事が多く報道されるようになりました。その中でも、「幼児童虐待」は年々増加しており、幼児童死に注目した厚労省のデータからは、心中で命を落とす子よりも、虐待死でこの世を去らなくてはならなかった子の数の方が多い事が分かります。それは、大人の身勝手な事情で、せっかくの生を受けながらも、親の愛情を受けられずにこの世を去る子供が多いという事を意味しています。
さて、マンションにお住まいのあなた。「自分のお隣さんは・・・。」そんな風に考えた事はありますか? 時折、聞こえる物音。子供の泣き声。それが適切な場面での適切な親子関係の中での産物でなかったら・・・。そんな風にあなたの耳が捉えた事はあるでしょうか? あなたがたくさんの思いと努力で手に入れたマイホームが、虐待の舞台に隣接していて死者が出たら、あなたとお隣さんお互いにとって、マイホームは最悪な舞台と化してくのです。
鈍い衝撃音!ゴンッという大きな音、叫ぶような子供の泣き声
賃貸アパートに住んでいた頃。休暇を取って過ごしていたある日、隣の家から「ゴンッ」「ドスッ」という大きな何かを投げて壁に当てているような音が聞こえました。
と同時に、叫ぶような幼児の鳴き声。その異様な音と声に身体が凍りついたのです。「何かおかしい・・・。普通じゃない。この音・声・・・虐待!!??まさか!!」息をひそめていたら、また鈍い音とさらに叫ぶような幼い泣き声。
確信しました。「絶対に虐待してる。」筆者は引っ越して来て間もなく、日中も不在にしていることが多かったため、お隣さんの家族構成どころか、どんな人物がいるかも知りませんでした。
「止めなきゃ死んじゃう!!」心拍は高鳴り、そう強く思う一方で、虐待しているような人間と関わり、自身の命も危なくなることへの恐怖も同時に高まります。でも、声の主はかなり小さな幼児であることを確信し、私よりも子供の方が死に近いと感じます。
恐る恐るお隣さんのインターホンを鳴らしました。反応なし・・・。でも、静かになった。人の気配はある。すぐそこで聞いているはず。そう感じ、ドアの外から「私は隣の○○○号室の者です。大きな音と声が聞こえました。とりあえず事情だけでも話してみませんか? 心配しています。待っています。」そう伝え、一旦帰宅。
そして、児童福祉相談所へ通報しました。しばらくして、我が家のインターホンが鳴りました。若い母親と、手を引かれた2~3歳ぐらいの可愛い女の子が立っていました。母親が小さな声でうつむいて、「助けてください・・・。この子を傷つけたくないんです。可愛いんです。でも暴力を振るってしまいます。」と言ってくれました。
幼児虐待の問題解決に向け
そこからは、ゆっくり、ゆっくりと話の聞き取りをして、本人を説得し、ご主人、家族にも連絡。しばらくして児童相談所のスタッフが到着。様々な手続きややりとりがあり、結果、母親は重度のアルコール依存症であることが分かり、治療を受ける事と女の子の保護を同時に進めることになりました。
母親の家族関係にも問題があり、協力が得られなかった上に、母親への福祉協力は得られる状況にならなかったため、筆者が家族の代わりとして母親の通院に付き添い、子供は保護施設でしばらく過ごしました。若い父親にも協力と理解、疾患についての学習をする事などを伝え続けました。
結果、時間がかかったものの、母親の状態も落ち着き、自身で通院できるようになり、環境の改善が認められ、子供も家庭に戻ってきました。また、母親自身の家族や夫にも変化もあり、母親へのサポート体制が整い、お隣さんにも、筆者にも穏やかな生活が、新たにスタートしていきました。こうして、お隣さんと筆者、関わる全ての人間の命とマイホームは、無事守られました。
引き続き、幼児虐待のケース2をご紹介したいと思います。