中部地方在住の主婦様から、マンションの理事長として「幼児虐待問題の解決に尽力した体験談」を紹介致します。
新築マンションを購入し、新しい生活を始まった3年目、くじ引きで見事!?に「理事長」という大役を引き当て、2年任期を30代女性がこなすという経験した頃のことです。
日々理事長として、細々としたトラブル対応に追われていましたが、幸い管理会社がしっかりした大手で信頼のおける担当者さんが寄り添って頂けた事により、順調にひとつひとつ問題を解決し管理組合を運営していました。そんなある日、「幼児虐待トラブル」という重大な問題にぶつかるのです。
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目次
マンションでこども虐待の相談
住民である若いお母さんから慌てた様子で「上の階のお母さんが、子供をクローゼットに閉じ込めたり、ベランダに放置して暴言を浴びせたり、叩いてるような音が聞こえる。」
同じ間取りだから、どこで何をしているか分かる。通報するにも私と幼い子供らに被害がかかりそうで怖くて出来ない。理事長さんに何とかして欲しい。」と直接訪問して訴えられた事がありました。
問題の人物は、かわいらしく美しいが、能面のように無表情な若い母親と、2~3歳の女児。夫は早朝から深夜まで仕事で不在がちでしたが、傍目には裕福な暮らしぶりです。
マンションの理事長としてすべきことは?
幼児虐待は迅速な対応が必要だとすでに学んでいました。前回のケース1「幼児虐待は社会問題!子供の悲痛な叫びや生命を守るために」
まず、通報者の母親には、児童相談所に通報する事。
すべての人が「家と立場を無くすような不幸」にならないように、守秘義務を理解し実施してほしい事。あなたの安全は守られる事を十分に説明し落ち着かせました。
すぐに該当宅の隣人に、マンション内で騒音被害がないか? というアンケートのふりをして話を聞き取り、隣人宅で虐待の疑いがあり悩んでいた事をうまく聞き出せました。幼児虐待の疑いが強くなった事で、管理会社の担当者へ報告し相談したうえ、最初の通報から翌朝には、児童相談所に状況を説明しました。すぐにスタッフが来て頂き、母娘への介入が始まったのです。
育児ノイローゼの母親!悩むばかりでどうすることも出来なかった
結果、難しい気性を持つ娘への対応に追われ、育児ノイローゼになっていたのに、祖母にあたる自身の母親や夫にも理解をして貰えず苦しんでいた状況が明らかになります。
娘が叫び声をあげ暴れるため、大きな音や声に対して、マンションの住民からのクレームが来る事を恐れて、クローゼットに閉じ込めていたことなども分かりました。祖母や夫が、相談所スタッフからの介入や教育により劇的に変化し、みんなで娘を育てる環境が整い、解決へと向かっていったのです。
マンションという集合住宅でママ友もあまりいなかった様子、悩みを打ち明けられる同じ様な環境にいる方がいれば、少しでも心の不安を取り除けられたはずです。
2度目の通報!幼児虐待問題は容易ではない
しかし、2年後ぐらいに、また同じように母親が虐待を始めているような報告が住民から寄せられ、この時は、すぐに児童相談所に通報しました(この時は前回の事情を知る前理事長として通報)。
前回同様、素早いスタッフの対応と、家族の再度の協力体制により母親も子供も守られ、その後は問題なく穏やかに経過し、今現在はとても仲のいい、表情豊かな母と大きく育った娘と父親の姿をよく見かけるようになりました。こうして、通報者・母親・女児・元理事長と、関わる全ての人の命も心も、苦労して手に入れたマイホームも無事に守られました。
誰も傷つかない配慮がどの場面でも行われた事で、後々、落ち着いた母親は、事態を把握し、近隣の部屋の住民たちに謝罪に回り、また近隣住民も笑顔で応え、今後のいいお付き合いや助け合いを約束するまでになりました。現在では、マンション内でいい人間関係が出来、それとなく見守り、声をかける習慣が付き、笑顔や世間話が自然とこぼれるようになったのです。
幼児虐待の対処方法
振り返って見て、ここで理事長として大切なことは、トラブルを知って対応しなくてはならないが、「必要以上の介入や情報は得ない事」です。
これは難しい事でした。通報してからも不安が残る住民の心と生活を癒し守りながらも、自身も同様に守る。相談所は相談所としての守秘義務のため、経過をほとんど開示してくれないのが事実です。そんな乏しい情報の中で理事長は、詰め寄る住民と相談所の板挟みにあいます。
そして、何よりも大切な事は、通報された本人たちにとっても、ここが大切なマイホームであるという事です。住民を恐れ、マイホームを手放さないといけないような事態に追い込んではいけないという事です。
何かを排除して解決したとしたら、その排除をした人間も、排除を促すきっかけとなった人間も、排除された人間も、みんな不幸な気持ちに陥り、せっかく苦労して手に入れたマイホームでこの先も、どんよりとした気持ちで暮らさないといけなくなるでしょう。
足りない情報は自身の観察力、見守りでカバー。これも出来る範囲で十分です。ただ緊急事態への対応は確認し、準備しておく。他人の人生を守るまでの事はしなくてもいい。ただ少しの気配りと目配りで防げる問題。癒せる心があるならば、それは配ってみてもいいのではないかと思います。
こども虐待の守り方はある
これらは実際に起きた事です。とても身近で誰にでも経験出来る事とも言えるかもしれません。
せっかく手に入れたマイホームと、何よりも大切な命は、気づくポイントと対処法を知っておくことで、穏やかな生活を守り続ける手だてとなってきます。気づきのポイントや通報先は「厚労省」の「児童虐待防止対策」で検索したら、詳しく知る事が出来ます。⇒https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/dv/index.html
<参考文献>
※ 厚生労働省HP 児童虐待の現状「児童虐待相談の対応件数及び虐待による死亡事例件数の推移」
マンションなどの集合住宅の場合、共有部分も多く、いい生活環境は自室だけでなくマンション全体にも求められます。いろんなライフステージの方、いろんな事情の方と近い距離で生活を送るには、自身でもいろんな場面を想定し守る準備と心構えが必要です。地震・火事・盗難。いろんな保険に加入するように、何かが起きた時のサインや対処法を知っておくだけで、それ以上の被害をくい止めることがあなたにもできるのです。
今回、マンションというマイホームで想定されるトラブルの1つとして、「幼児虐待」の事例をあげ、すべての住民にとって大事な、環境を守る実際の方法をケースとともにご紹介してみました。丸く収まらず、転居を余儀なくされるケースも多いかも知れません。でも、こうして、無事に解決し、自身のマイホームを守れるケースもあるという事も事実としてお伝え出来ていれば、うれしく思います。
まとめ
「幼児童虐待の場面」ここで、何よりもあなたに求められるのは「通報する勇気」です。
めちゃくちゃ怖いです。もしかしたら違うかもしれないし、逆恨みだって怖いです。本当は前回のケース1「幼児虐待は社会問題!子供の悲痛な叫びや生命を守るために」のような、直接介入は危険な行為であり、おススメできません。
電話一本入れるだけでいいんです。その場合、通報者のプライバシーと安全は、適切な完全な形で守られる仕組みになっています。間違っていてもいい。誰かの命と、あなたの大事な生活環境、マイホームを守るために勇気を持つこと。それを忘れないでいて欲しいと思います。