中国地方に住む40代の主婦(K)様から、都会を離れ田舎暮らしと移住生活を実現した、中古の古民家購入体験談の紹介です。
家族は40代の夫と小学生男女2人の4人家族です。
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この度、永住目的で築40年程の家から、古民家に引越しをしました。
川と田畑と山に囲まれた、のんびりとした山里の古民家です。
茅葺に板張りをした銀色屋根の、ちょっと昔話を思い出す雰囲気の家です。
引っ越しを決めてから決行まで約1年。
自分なりに考えて動きましたが、思うところもありました。
そのあたりをお話させていただこうと思います。
目次
古民家住宅を購入するため、注意するべき5つのポイント
ポイント1 古民家住宅の譲れない!妥協しない!ポイントはハッキリさせて
古民家の基準は、築50年を経過した家です。
瓦葺のお屋敷から茅葺屋根ベースの家まで、意外とバラエティに富んだ外観があります。
私は「家は住めれば良い」派です。
かなり古い家なら、骨格である梁・ケアが大掛かりになる屋根の構造体次第で、部分修繕や入れ替えで住めると考えていました。
その為、外観にはあまりこだわらず構造物の状態(骨格の梁・大黒柱など)で決めました。
そして構造物を傷める湿気対策のため、家の通風の状況を見ました。
家にこだわりのない代わり、住む地域の気候と建っている周りの環境を重視しました。
ポイント2 古民家探しは長期戦!のんびり準備の方が良い
中古物件の場合、家の傷み具合を見るのは当然です。
見える所はきっちりとチェックしたいもの。
でも古民家って、今時の家より大きめです。
当然一軒あたりの見学に時間も手間も掛かります。
以前よりも古民家物件を見かけるようになりましたが、それでも同じ自治体内に複数物件があるのは稀です。
仕事休みの時に、数件纏めて見学をするとなると、数カ所の自治体を、山を超えて移動することになります。
半日で4件、3自治体を回った事があったのですが、かなり疲れました。
子供達の転校があるので、引越し時期を年度末と決めていました。
物件の契約が12月。
リフォームをする時間的にもギリギリのタイミングでした。
時間が無かったため、費用の節約が出来る全面DIYセルフリフォームを諦め、地元の工務店に工事を依頼しました。
片づけの為に出入りするようになってから、家が馴染んで来て、見学時に見えなかった床の沈みなどの症状があちこちに出るようになりました。
その部分も纏めて工事出来たので、急いでリフォームを契約しなくて良かったと思いました。
古民家との出会いは、普通の昭和築の様な中古一戸建物件よりも少なめです。
時間をじっくりと掛けて、長くお付き合いをした方が良いです。
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ポイント3 古民家は廃屋扱いで住宅ローンが組めない?
購入金額は290万円(販売形態:売主)でした。
頭金として1割を仮契約時後に支払い、残額を本契約時に支払となりました。
即金購入を目指し、できるだけの資金は用意していたのですが、貯金の目減りを抑える為敢えて住宅ローンを利用しようと思っていました。
しかし、かなり山間部の立地である上に、母屋は築年数不詳で売買契約書上では廃屋扱い。
農地山林もあるけど住宅ローンを組むのは無理だろうと、不動産屋さんに止められました。
フリーローンも検討しましたが、やや金利が高めで返済が苦しくなるので諦めました。
しかし、住み始めてからのメンテナンスにかかる費用が未知数なのを思えば、結果的にはこの形で良かったかもしれません。
もし永住目的の古民家購入資金を住宅ローンで賄おうとする場合は、ローン特約を契約書に付帯させる方法が一番安心です。
しかし「住宅ローンを組んで古民家は買うものじゃない」という持論の業者さんも居られます。
本格的な交渉に入る前に、付帯出来るかを確認した方が良いかもしれません。
また、永住するならどこかで纏まった額のメンテナンス費用が必要になります。
将来の出費も考えて、借り入れは絶対に無理をしない金額に収めるようにしましょう。
ポイント4 古民家はゴミだらけ?半端ではない前入居者の後始末
我が家もそうだったのですが、古民家物件では時々、家財道具などそのまま残されているものがあります。
私は元々古物が好きです。
使えるものは残そうと思い、通いながら分別処分する事にしました。
実際には自宅、納屋、蔵の片付けをしてリフォーム出来る状態に1ヶ月掛かりました。
まず、本当に貴重なものはご家族が持って帰られています。
価値のあるお宝探しにはなりません。
そして実際に作業すると、パッと見た目よりも処分品の量が何倍も多いです。
そして古物よりも日常生活の不用品が圧倒的に多く、断捨離選択基準の「3秒ルール」ならぬ「1秒即決」の状態でした。
また、処分方法も下調べしておかないといけません。
私は帰路にある無人資源回収所にかなりお世話になりました。
しかし遠方から移住される場合、そうはいかないでしょう。
費用は掛かりますが民間の回収業の方を頼るか、あるいはその物件を敬遠するのも一つの方法かもしれません。
ポイント5 古民家に実際に住んでみた感想
古民家でよく言われるのは動線が長いことと高い段差です。
これらは老後の生活に関わってきます。
2階建てから平屋への引越しだったので以前より動線は長くなっています。
上下の移動よりも平行移動の方が楽なので、それほど気になりません。
収納場所を動線位置と合わせることで無駄な動きを解消しています。
段差はあります。
幾つか階段1~2段分の段差のある場所があります。
先住者が一人暮らしのおばあさんで屋内も老人車を使っていました。
その為、水回りと台所に繋がる一部屋だけはある程度の段差解消リフォームをしていました。
加齢とともに動く範囲は限られてきます。
追々私たちもこの場所で対応可能と考えています。
日の入らない部屋もあるので毎日の換気は必要ですが、逆にここは暑さの影響を受けにくいです。通風の良い間取りなので、夏はエアコン無しで過ごせそうです。
まとめ 古民家生活の感想
古民家独特のどっしりとして温かみのある雰囲気が一番気に入っています。
窓を開ければ眼前に里山の景色。鳥の声と川のせせらぎの音が響き、心を落ち着かせてくれます。
周囲に気兼ねしないので思いきり大声を出して遊ばせる事も出来ます。
片づけに通ってきた時から、子供達は外に中に走り回っていました。
今も気ままにごろ寝してのんびりと過ごしています。
見学時、田舎暮らし専門の不動産業者に言われた言葉があります。
「今どきの家の感覚で物件を見るのであれば、古民家は選ばない方が良いです。安い古民家は必要以上にお金を掛けず、セルフリフォームが一番良いです。」
この言葉の意味は今回よくわかりました。
経年劣化に伴う軽いトラブルの度にお金をかけていたら出費が大変な事になります。
それに今の家の建築様式は、過去の不便な点を改善してきている結果です。
古民家に不便さが見えるのも当然です。
そもそも今の家と古民家と比べて今時の家同様の暮らしを求めるようであれば最初から古民家物件は選ばない方が良いです。
(これは購入した不動産やさんからもはっきりと言われました。田舎ぐら物件を専門に扱われて居る業者さんです)
今と昔を比べたら今の方が物理的に暮らしやすいのは当然ですから。
古民家物件に夢を持ちすぎるのも後々後悔する事態にもなります。
それらを受け入れ、自分の手で思い通りの暮らしを手に入れる事が、古民家暮らしの楽しみの一つなのではないのかと思います。